こける人々・助ける人々ロンドンに来てから、結構最初に気づいたのは、ロンドンではこける人がめちゃくちゃ多いということだ。 道を歩いていたり、バス停でバスを待っていたりすると、かなりの頻度で バスを猛烈に追走する人を見かける。 これは、まあどちらかというと学生~青年~壮年という世代に多く、男女に 関係なく走っている。 日本でああいう状況だと、みんな走りながらも少しは周りの目も気にするし こけない用心が体からみなぎっていて、あそこまで走る人はいない。 しかし、ロンドンで走る人の速度たるや、ものすごい。 陸上部でウォーミングアップを追え、その後、流しで10本くらい走った後の 次の段階のセミダッシュなのだ。 ロンドンのことだから、男性はともかく女性の格好にはかなり過激なものも あり、ピンヒールの人も、へそ出しもいる。 その結果、どういうことが起こるか? 可哀相だが、5人に1人はばったーんと道が沈むような勢いでこけるのだ。 こういう人たちはバスだけ見ていて足元を見ていない。 それが目に付くこちらは、走っている瞬間から「あっ、こける」とわかる。 あまりにも冷静に見ていて申し訳ないくらいだが、勢いが頂点に達している ものだからこけた瞬間がすごい。 前のめりにばさーっと倒れた瞬間に膝~恥骨~腹~胸と重心が移動する。 勢いは慣性となり、移動し終わった部分から体が順にせりあがる。 いわゆる、小学校の時に鉄棒でやった「海老上がり」みたいな感じだ。 走っている間から、一瞬にして最後の状態が眼に浮かんでしまうほど単純な 展開になる。 こけたことは気の毒なのだが、やっぱり足元は常々見て行動するもんだよと 思ってしまう私はかなり冷たい人間かなとも思う。 しかし、この後、また考えさせられる別な展開となる。 ロンドンの人々は、こういう時には必ず4~5人が瞬間的に駆け寄って手を 差し伸べるのである。 ロンドンがイギリス一の大都会だから、おそらく田舎ではもっとこの傾向は 強いだろう。 この手の出し具合の速さについては、日本では見ない種類のものだと思う。 ロンドンだと、見た目からワルガキそのもののあんちゃんも、バスを降りる 老人のショッピングカーを助けてやる。 住む土地柄によって、学ぶところ、学ばずにいたいところ、いろいろある。 ジャンル別一覧
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